今回は『HIIT・タバタトレーニングの効果』です。
最近、HIITは日本で流行っており、YouTubeでも痩せる運動としてよく紹介されています。
結論
HIIT・タバタトレーニングは、"心肺機能を高めるトレーニング"です。
痩せることもありますが、結果として痩せているだけで脂肪燃焼や痩せるための運動ではありません。
HIITトレーニングとは
HIITトレーニングとは、High-Intensity Interval Trainingの略称です。
日本語にすると、高強度間隔運動となります。
高い負荷で一定の間隔で休息をとりながら運動を行います。
しかし、運動時間・休息時間などは細かい決まりはなく、高い負荷で短い時間のインターバルトレーニングであればHIITトレーニングと呼んで良いものです。
タバタトレーニングとは
立命館大学の田畑 泉先生が考案されたトレーニング方法です。
海外でもTABATA protcolとして非常に有名です。
タバタトレーニングはHIITよりも細かく強度・運動時間・回復時間が決められており、約4分でトレーニングが終わるという短時間でとてつもない負荷をかけるトレーニングです。
HIIT・タバタトレーニングの歴史
1952年のヘルシンキオリンピックで、5000m・10000m・マラソン競技で優勝したチェコスロバキア(当時)のザトペック選手がHIITトレーニングをしていたということで一躍有名になりました。
その後、1980年にスピードスケートの日本代表のヘッドコーチの入澤 孝一氏が考案されたそうです。
そして、その後に田畑 泉先生が科学的に分析され発表したそうです。
HIIT・タバタトレーニングの効果
HIIT・タバタトレーニングは歴史から見てもわかるようにダイエット目的のトレーニングではありません。
HIIT・タバタトレーニングは有酸素性・無酸素性のエネルギー供給能力の向上に優れたトレーニングです。
正確な取り入れ方としては、スポーツなどで持久力を必要とする際に行うトレーニングという感じです。
HIIT・タバタトレーニングの違い
HIIT・タバタトレーニングはコンセプトとしては同じです。
高強度・短時間・間欠的というコンセプトです。
HIITトレーニングの方が、トレーニングの幅が広いです。
そのため、HIITトレーニングの中にタバタトレーニングが入っているようなイメージかと思います。
HIIT
HIIT
- 運動強度 80%HR max以上
- 運動時間
- 回復時間
- プログラム全体の運動時間 30分以内
※80%HR max以上とは
(220-年齢)× 0.8
この計算式の答え以上の心拍数になるようにトレーニングすることです。
タバタ
タバタトレーニング
- 運動強度 170%Vo2max
- 運動時間 20秒
- 回復時間 10秒
- プログラム全体の運動時間 4分
※170%Vo2maxとは
正確に測定するためには、大掛かりな機械が必要です。
そのため、測定は困難です。
運動強度の目安としては、タバタトレーニングをしていて途中でできなるほどの運動強度で行うことで170%Vo2maxになります。
タバタトレーニングは1セットのみと決まっています。
2セットできるよな状態ということは運動強度が足りていないということになります。
HIITは明確なセット数の決まりはないかと思います。
このような違いがあります。
HIIT・タバタトレーニングのメリット
共に短時間で心肺機能を大きく鍛えることができるということが最大のメリットです。
タバタトレーニングであれば、4分で有酸素性・無酸素性エネルギー供給能力を鍛えることができるので、非常に時間短縮になるトレーニングです。
時間が短いので、モチベーションも保ちやすいと思います。
HIITは、プログラムを自分好みに変更できるので4分で超強強度はしんどいという方などは少し強度を下げて、運動時間を伸ばすとかもできるので良いと思います。
HIIT・タバタトレーニングの頻度
HIIT・タバタトレーニングともに何日おきに行うかなどの明確な設定はないようです。
そのため、オーバーワークにならないように行うことが適切かと思います。
HIIT・タバタトレーニングともに筋肉には大きな負荷をかけずに心肺機能を鍛えるトレーニングなので、隔日でも実施できそうな気がします。
ただ、筋肉・関節などに負荷がないわけではないので、2日続けたら1日休むなど、身体の調子に合わせて実施してみて下さい。
HIIT・タバタトレーニングの脂肪燃焼について
HIIT・タバタトレーニングは冒頭にも書きましたが、脂肪燃焼効果はありません。
痩せたとしても、結果として痩せているということになります。
タバタトレーニングでは筋量は増えない。これは、タバタトレーニングが筋に与える刺激は筋肉が増加するほど大きくないからである。タバタトレーニングを行っても体重は減少しない 。また、実際にタバタトレーニング中及び、その後のエネルギー消費量を測定しても 150 kcal 程度であり 、中等度の運動強度の長時間運動に比べて少ない。
と田畑 泉先生自身が日本音響学会誌で掲載しております。
いくつかの文献でHIITが脂肪燃焼効果があると書いているものもありますが、あまり確信的な文献ではないようです。
脂肪燃焼効果はないと田畑先生ご本人が言っているので間違い無いかと思います。
誤った知識・エビデンスに基づかない迷信を生まないように注意しましょう。
まとめ
HIIT・タバタトレーニングについて書かせて頂きました。
改めて、これらのトレーニングを見てみると世間的に言われていることが大きくズレているところもあります。
普段運動をされない方がHIIT・タバタトレーニングをし始めることで消費カロリーが増加して痩せることはあります。
これは脂肪燃焼効果ではなく、単純に消費カロリーが増えたからです。
海外でもTABATA protocolは痩せると誤った情報が流れており田畑先生も迷信にならないように基礎研究をしないといけない。と文献に記載されるほどです。
これを呼んでいただいた皆様はHIIT・タバタトレーニングをしっかりと理解し、目的に合わせてこれらのトレーニングを行うようにしましょう。
ありがとうございました。
参考・引用文献
- 日本音響学会誌 76 巻 2 号(2020),pp. 117–122 117 タバタトレーニング——エネルギー論的に最も有効なトレーニング方法——田畑 泉(立命館大学スポーツ健康科学部)
- Sportsmedicine 2015 NO.168 TABATAトレーニング無酸素性能力と有酸素性能力を同時に短時間で高めるトレーニングの理論と方法