今回は『ウォーミングアップ』です。
皆さんは、ウォーミングアップについてご存じでしょうか?
運動前に何となく実施するものとして捉えておられる方も多いと思います。
ウォーミングアップは、しっかりと実施することで筋発揮の増加やケガの予防になりますので、しっかりと理解して行っていきましょう。
ウォーミングアップとは
ウォーミングアップとは、英語で"Wariming up"と書きます。
- Warm=温める
- up=上げる
と身体を温めるという意味です。
一般的にはウォーミングアップは、ケガの予防やスポーツの試合前に行うことでパフォーマンスを高めるという認識かと思います。
実際、ウォーミングアップの意味としてはケガの予防・パフォーマンスの向上で間違いないと思います。
ただ、どの程度ウォーミングアップすれば良いかというのはあまり理解されていないと思います。
ウォーミングアップの効果
ウォーミングアップには様々な効果があります。
ウォーミングアップを行うことで
- 最大筋力が効果的に発揮される。3)
- 筋力増強やパフォーマンス向上がされる。3)
- 神経伝達速度が増加する。4)
- 筋組織損傷の程度の抑制と早期回復が見込める。2)
ウォーミングアップの方法
ウォーミングアップは、やり方が定められておらず個人より大きく異なる方法をとっていると思います。
実際、ウォーミングアップのやり方はどんなものであっても大丈夫です。
ただ、身体を温めるということが必須になります。
ウォーミングアップ方法とその効果について下記にまとめます。
運動
ランニングや自転車漕ぎなどでウォーミングアップを行い、身体を温める方法はウォーミングアップ効果があります。
- 最大筋力の増加
- 神経伝達速度の増加
が認められています。
運動でのウォーミングアップを部分的に行うことも効果はありますが、望ましいのは全身的な運動(ランニングなど)の方がウォーミングアップ効果は出やすいそうです。
サウナ・温水シャワー
サウナ・温水シャワーなどで受動的に、身体を温めるウォーミングアップに関しては、効果があるという研究と効果がないという研究とに二分しています。
もちろん、先ほどの身体運動でのウォーミングアップも研究により効果が分かれておりますが、概ね効果ありという研究が多いです。
サウナ・温水シャワーは、効果がないというものの割合が多い気がします。
個人の意見ですが、筋肉が温まり筋肉が伸びやすくなっていますので、ケガの予防という役割は果たせているかと思います。
しかし、運動パフォーマンスの向上はしていないと思います。
マッサージ
マッサージに関しては、効果がないという研究が多いと思います。
マッサージは疲労回復などのために多く利用されますが、ウォーミングアップにはならないという考えで良いかと思います。
ストレッチ
ストレッチは、運動前のストレッチで筋組織損傷の程度の抑制と早期回復が起こっている可能性がある2)という研究結果もあり、ケガの予防になっているものと思われます。
しかし、静的ストレッチ(ゆっくりと伸ばすストレッチ)は最大筋発揮の低下を生じさせるので、筋トレ前は静的ストレッチのし過ぎもあまり良くないのかと思います。
ウォーミングアップの適切な時間と強度
ウォーミングアップの適切な時間は、気温・室温によって異なります。
寒い季節であれば、身体も冷えていますのでウォーミングアップに少し時間がかかります。
逆に、温かい季節であれば身体がある程度、温かい分ウォーミングアップの時間は短くて済みます。
適切な運動強度は、"VO2max50%程度"です。
VO2max50%といわれても、機械がなければ正確な測定はできませんのでおおよその目安としては最大心拍数の65-66%程度です。
最大心拍数は"220-年齢"で計算できます。
計算例
例えば、30歳の方であれば
220-30=190 この190が最大心拍数です。
190×0.65-0.66=123.5~125.4
123~125回/分の心拍数でウォーミングアップをすることが適切です。
寒い時期であれば、VO2max50%で30分のウォーミングアップが適切です。
温かい(常温)の時期であれば、VO2max50%で15分のウォーミングアップが適切です。
ウォーミングアップを早く済ませたいからと言って強い負荷でのウォーミングアップを短い時間実施するというのはおすすめできません。
理由としては、高強度・短時間のウォーミングアップはウォーミングアップ効果が出にくいためです。
まとめ
ウォーミングアップの目的は、運動によって身体を温めるということです。
運動によって身体を温めることで、パフォーマンス向上や神経伝達速度の上昇などがあります。
運動強度は最大心拍数の65-66%で実施しましょう。
ウォーミングアップ時間は寒い時期は30分、温かい(常温)の時期は15分程度が適切です。
なかなか、ウォーミングアップについて詳しく調べることもないかと思いますが、興味のある方は下記の参考文献を読んでいただくとおもしろいと思います。
ウォーミングアップを理解し、より効果的なトレーニング・競技パフォーマンス向上を目指しましょう。
ありがとうございました。
参考・引用文献
1)高橋 弘彦ら 1990 年 27 巻 Supplement 号 p. 28 異なる温度環境下におけるウォーミングアップの効果
2)佐藤 陽久 日本体育学会第62回大会 ウォーミングアップとしてのストレッチングが筋組織損傷の予防へ及ぼす効果
3)峯松 亮 第40回日本理学療法学術大会 Warm-upによる最大筋力発揮への影響
4)内田 大 第49回日本理学療法学術大会 抄録集 ウォーミングアップにおける神経伝導速度の変化