今回は『クレアチンの効果とは?』です。
トレーニング中・上級者やスポーツ競技者の方でクレアチンを飲んでるけど細かい作用や効能までわからないという方もおられるかと思います。
今回は、クレアチンについて細かく書いていきたいと思います。
かなり専門性の高めの内容で上級者・マニア向けの内容かと思います。笑
結論
クレアチンの効果は
です。
その他にも筋持久力の向上・疲労の軽減など効果が言われていますが、文献により様々なので確実に効果があると思われるのは"筋力・筋出力の向上"かと思います。
クレアチンとは
クレアチン (creatine) とは、1-メチルグアニジノ酢酸(あるいはメチルグリコシアミン)のことで、有機酸の一種である。略号は Cr。筋肉中に存在する。
wikipedia引用
クレアチンはアルギニン・グリシン・メチオニンというアミノ酸からできています。
アミノ酸の一種で、筋肉が収縮する際のエネルギー源です。
主には筋肉にクレアチンリン酸という形で筋肉内に貯蔵されています。
筋肉へのエネルギー供給
筋肉へのエネルギー供給は、"無気的代謝"と"好気的代謝"に分けられます。
無気的代謝とは、"酸素がない"状態の代謝のことです。
好気的代謝とは、"酸素はある"状態の代謝のことです。
そして、無気的代謝の中でも、"クレチンリン酸系"と"解糖系"に分けられます。
エネルギー供給の基礎
骨格筋の収縮はまず、アデノシン三リン酸(ATP)という物質からリン酸が一つ外れ、アデノシン二リン酸(ADP)に変化します。
そのリン酸が外れた際にエネルギーを発生させます。
このアデノシン三リン酸(ATP)のエネルギー機構は運動開始5-6秒で全細胞内のアデノシン三リン酸(ATP)を使い果たしてしまいます。
アデノシン三リン酸(ATP)が枯渇すると、クレアチンリン酸系のエネルギー供給が開始されます。
クレアチンリン酸系のエネルギー供給は、クレアチンリン酸とアデノシン二リン酸(ADP)が反応し、アデノシン三リン酸(ATP)とクレアチンを生産します。
ここでアデノシン三リン酸(ATP)が生産されるため、再度エネルギーを作ることが可能となります。
このクレアチンリン酸系のエネルギー供給は10-15秒で体内のクレアチンリン酸を使い果たしてしまうと言われています。
つまり、瞬発力・パワー・スピード関係のエネルギーとして利用されます。
好気的代謝については、クレアチンから少し話が外れるので割愛させていただきます。
クレアチンを体内に貯蔵する
クレアチンリン酸系のエネルギー供給では、クレアチンリン酸がアデノシン三リン酸(ATP)を生成しており、クレアチンは必要ないんじゃないか。と思われる方もいると思います。
クレアチンリン酸は名前の通り、クレアチンにリン酸がくっついたものです。
そして、クレアチンリン酸は体内に貯蔵することができます。
そのようにして、クレアチンを経口摂取することで体内にクレアチンリン酸として貯蔵して、アデノシン三リン酸(ATP)が枯渇するとクレアチンリン酸系のエネルギー供給を開始するというシステムになっています。
クレアチンリン酸系のエネルギー供給で生じたクレアチンの行方
クレアチンリン酸系のエネルギー供給でで生じたクレアチンですが、行方は2パターンあります。
- クレアチンキナーゼという物質により再びクレアチンリン酸を生じる。
- クレアチニンになる。
です。
そして、クレアチニンは腎臓で尿として排泄されることになります。
解糖系のエネルギー供給
無気的代謝系の中には、クレアチンリン酸系のエネルギー供給と解糖系が存在します。
クレアチンリン酸系のエネルギー供給と同じ無気的代謝系ですので、簡単にですが解糖系についても解説します。
筋肉内のグリコーゲンがグルコース分子によって、分解されます。
その分解される際に、アデノシン三リン酸(ATP)生産されるというシステムです。
解糖系のエネルギー供給は30-40秒で枯渇すると言われています。
最大運動時のそれぞれのエネルギー供給機構の時間・量の関係
クレアチンの摂取による効果
最初にも記載しましたが、クレアチンの効果は"筋力・筋出力の向上"です。
ここでは参考文献のエビデンスをもとに紹介したいと思います。
The major findings of the present study were that the 4 weeks of complex training with optimal individual PAP time (3 times per week) during the off-season period could reduce body fat percentage and enhance maximal muscular strength, performance of 30-m sprint, jump height and peak power. Moreover, creatine supplementation during the complex training protocol applied in this study could increase maximal muscular strength after 4 weeks of training and reduce the muscle damage caused by the complex training bout.
1)より引用
と記載されています。
Cr-supplemented soccer players showed improved PPO and MPO after the low-dose, short-term Cr supplementation . However, placebo-supplemented soccer players also showed a small, but nonsignificant , increase in both PPO and MPO.
2)より引用
There were also no significant differences in FI pre- and post-supplementation between the Cr and placebo groups, with no significant interaction between group and time .
2)より引用
10秒間無酸素性パワーは、利き腕側およびトレーニングを付加した非利き腕側とも、クレアチン投与後に有意な増加を示した。
本研究において測定した局所筋持久力は、投与のみの側では有意な変化を示さなかった。
3)より引用
このように3つの文献だけですが、筋出力についてはクレアチンによる筋力・筋出力の向上が認められています。
クレアチンの摂取量
クレアチンの摂取量ですが
1の文献では、1日20gを6日間。その後は毎日2gの摂取
2の文献では、0.03/kg/d 一日当たり体重×0.03gの摂取を14日間
3の文献では、5gを一日で6回摂取。1日30gのみの摂取
となっています。
クレアチンはローディングといって20gを1週間程度摂取することで、体内のクレアチンを満タンまで補充することができます。
その後は、毎日2-5gの摂取で維持できるというのが一般的です。
毎日2-4gのクレアチン摂取でも1ヶ月でローディングした後と同様になります。
そのため、クレアチンを急速充電したい方は"20gを1週間"(1回の摂取は5gずつが良い)
その後、2-5gを飲むようにするようにすればよいです。
急速充電しなくても良い方は2-5gずつ毎日飲みましょう。
クレアチン摂取のタイミング
クレアチンは体内でインスリンというホルモンによって筋肉に運ばれるようになっています。
そのため、インスリンが高くなる食後を狙って飲むことが良いかと思います。
インスリンは食後1時間でピークになりますので、それまでに飲むようにすることが吸収効率を高めるポイントとなります。
まとめ
クレアチンについて、エビデンスも混ぜて効果を書かせて頂きました。
筋力・筋出力が向上すれば、筋トレの際に筋肉に大きく負荷をかけることができ、筋肉の発達も早くなります。
スポーツ競技者は、筋出力の向上や瞬発力が向上し、無酸素運動時間も延長されるので競技パフォーマンスが向上するので非常に有利になります。
クレアチンは本来体の中にあるもので、それをサプリメントで補充しているだけなのでドーピングにもなりません。
今やプロスポーツ選手はほぼ飲んでいるのではないかと思います。
クレアチンはサプリメントの中でも非常に効果を感じやすいサプリメントとなっていますので、飲んでみることをおすすめします。
ありがとうございました。
参考・引用文献
- Chia-Chi Wang, Chu-Chun Fang, Ying-Hsian Lee, Ming-Ta Yang, and Kuei-Hui Chan Effects of 4-Week Creatine Supplementation Combined with Complex Training on Muscle Damage and Sport Performance Nutrients. 2018 Nov; 10(11): 1640. Published online 2018 Nov 2. doi: 10.3390/nu10111640
- Aquiles Yáñez-Silva,Cosme F. Buzzachera,Ivan Da C. Piçarro,Renata S. B. Januario,Luis H. B. Ferreira,Steven R. McAnulty,Alan C. Utter,and Tacito P. Souza-Juniorcorresponding author Effect of low dose, short-term creatine supplementation on muscle power output in elite youth soccer players J Int Soc Sports Nutr. 2017; 14: 5. Published online 2017 Feb 7. doi: 10.1186/s12970-017-0162-2
- 黒澤 裕子ら クレアチン経口投与が局所筋パフォーマンスおよび骨格筋クレアチンリン酸濃度に及ぼす影響 体力化学(1998) 47. 361-366