今回は『子供の運動神経は遺伝?努力?』です。
子供を持つ親御さんは、子供の運動神経を良くしたいと思っておられる方が多いと思います。
ただ、自分は運動苦手だったけど…と思う方もおられると思います。
今回は、子供の運動神経がどのくらい遺伝し、運動神経はどのあたりまで鍛えられるのかを文献などを用いて解説していきたいと思います。
結論
結論
子供の運動神経の遺伝率は約66%程度
つまり、トップアスリートになるには運動神経の遺伝も必要です。
しかし、学校で通用する運動神経や平均以上の運動神経までは子供時代のトレーニングで運動神経を良くすることができます。
子供への運動神経の遺伝
自分が運動神経があまり良くなく、子供の運動神経も悪くなってしまうと心配される方もおられるかと思います。
ポイント
実際は、親の運動神経が悪くても子供も運動神経が悪いと決まるわけではありません。
ある運動神経がどの程度遺伝するのかを研究した論文では
持久力29個、筋力51個、筋持久力2個、その他の体力27個、アスリートステータス 1 個であった。(中略)
持久力、筋力、その他の体力について、横断研究における遺伝率の平均値を求めたところ、それぞれ、0.49(95%CI: 0.36- 0.62)、0.55(95%CI: 0.50-0.61)、0.45(95%CI: 0.35-0.55)であった.筋力に関しては、17個の指標を用いてメタ解析を実施したところ、0.61(95%CI: 0.58-0.63)の遺伝率 であることが示された。
1)文献引用
SEMを用いてアスリートス テータスの遺伝率を算出した結果、約66%の遺伝率が算出された。
2)文献引用
と書かれています。
つまり、トップアスリートを目指すには遺伝的要因も重要になりますが、日常や学校の体育、部活動程度であれば遺伝的要因があまり良くなくても十分挽回可能です。
これらの研究は、持久力・筋力などの基礎能力ですので、スポーツなどをする場合の技術面は考慮していません。
そのため、サッカー・野球などスポーツ競技においては技術が多く影響するので遺伝的要因よりも技術習得の方が必要と言えます。
スポーツ技術に関しては、遺伝的要因は全くありません。
トレーニングで補える
子供の運動神経はトレーニングで補える部分が多いです。
先ほどの文献では、持久力や体力の遺伝率を算出していました。
持久力・筋力に関しては、トレーニングで強化が可能です。
例えば、マラソン選手の子供と運動音痴の子供がいた場合でも、マラソン選手の子供が走る練習をしなければ持久力は低くなります。
そして、運動音痴の子供が毎日6km走るトレーニングをしていた場合、間違いなく毎日トレーニングしている運動音痴の子供が持久走で勝利します。
このように、生まれ持ったものが良くてもトレーニングしなければ才能も腐ってしまいます。
逆を言えば、トレーニングを継続することでどんな子供でも可能性は無限にあるということです。
10歳までが特に成長する
重要ポイント
子供にはゴールデンエイジとって著しく運動能力が成長する時期があります。
それが10歳までの期間です。
このゴールデンエイジの期間は、子供が様々な運動を行うことで運動神経を発達させることができます。
10歳以降が成長しないわけではありませんが、大きく成長するのが10歳までの期間なので、子供の間にいろんなスポーツや運動をさせてあげることが子供の運動神経の成長に繋がります。
子供時代におすすめの運動
子供の時にしておくと良いおすすめの運動は
子供の時にしておくと良いおすすめの運動
- 水泳
- 体操
- アスレチック
です。
水泳
水泳は、心肺機能の強化・全身運動・体幹トレーニングとして非常に優秀です。
息を止めて全身を動かすことで心肺機能・筋持久力を強化します。
水中では、体幹を固定しなければ上手く四肢を動かすことができません。
そのため、体幹も鍛えることができます。
体操
体操は、身体感覚(運動イメージ)・体幹のトレーニングになります。
体操は前転や後転など自分の身体を上手くコントロールしなければなりませんので、身体感覚(運動イメージ)を養うのに非常に優れています。
さらに、体幹も強くないと回転系の動作ができないので体幹も鍛えるとこができます。
アスレチック
アスレチックは、全身運動・身体感覚・筋力強化・体幹トレーニング・持久力のトレーニングになります。
アスレチックは、バランスの悪い足場で登ったり下ったりと様々な動きを繰り返します。
さらに、強く握る・ぶら下がるなどの動作が多く繰り返されるので、身体感覚・筋力・体幹も鍛えられます。
アスレチックパークなどの施設も多くありますので、遊びながら運動神経を鍛えることができます。
スポーツ競技の場合
スポーツ競技の場合は、運動神経だけでなく、そのスポーツの技術力も多く必要になります。
いくら運動神経が良くても、そのスポーツの技術がなければ活躍することができません。
スポーツを習わそうと考えておられる親御さんは、スポーツを習うまでは運動神経を良くするために様々な運動をさせてあげましょう。
そして、スポーツを習い始めてからは、その競技の技術を磨くようにしてあげると良いと思います。
個人的意見
実際、アスリートや運動神経の良い親の子供の方が学校の体育や部活でも活躍することが多いです。
その理由としては、親が運動神経が良い場合、親が運動を好きなことが多く子供にも様々な運動をさせてあげている場合が多いと感じます。
そのため、遺伝+トレーニングによって運動神経がグッと伸びていることが多いと思います。
子供の運動神経を良くしてあげるには、"子供自身が運動することが好きになること"が一番だと思います。
運動が好きであれば、自分で運動し自ずと運動神経の成長するので親御さんは楽しく一緒に運動をしてあげましょう。
まとめ
今回は子供の運動神経の遺伝と努力について解説しました。
トップアスリートを目指していない限りは、子供時代(ゴールデンエイジ)の運動経験でどうにでもなると思います。
運動の苦手な親御さんでも子供に楽しく様々な運動をさせてあげることで、子供の運動神経は良くなります。
体育などで運動面で困らないように"楽しく"様々な運動をさせてあげましょう。
子供の運動神経を良くする方法として、こちらの記事に具体的な方法を記載していますので、是非ご覧ください。
ありがとうございました。
参考・引用文献
- 村上 晴香 遺伝情報を利用したタレント発掘・育成の可能性 89 運動行動・運動能力の遺伝率
- 村上 晴香、膳法 浩史ら 運動能力・運動行動の遺伝率 体力科学 第 65巻 第 3 号 277-286(2016)