今回は『体幹筋と腰痛の関係』です。
現在、腰痛持ちの方は5人に1人いると言われています。
多くが原因不明での腰痛や年齢によるものなどと言われています。
今回は腰痛、特に慢性腰痛の原因を自分で分析し、ケアできるように解説していきたいと思います。
結論
結論
- 慢性腰痛は多裂筋が原因であることが多いです。
- 自分で多裂筋をマッサージやケアしましょう。
腰痛とは?
腰痛とは、腰痛(ようつう, Low back pain)とは、腰に痛み、炎症などを感じる状態を指す一般的な語句。 その期間によって、急性(6週間まで)、亜急性(6-12週間)、慢性(12週間以上)に分類される。
wikipedia引用
wikipediaでは上記の様に書かれています。
文字通り、腰が痛くなることを腰痛と言います。
そして、12週を超える腰痛は慢性腰痛と言われる状態です。
慢性腰痛の原因
慢性腰痛の原因は、様々な要因がありますし、原因不明の物もありますが多くの文献からは多裂筋の制御低下や収縮不全が原因であることが多いと書いてありました。
Promoting this perception was the finding that patients reporting LBP displayed decreased electromyographic activity in the transverse abdominus and multifidus muscles.
1)文献引用
翻訳
慢性腰痛を訴える患者は、腹横筋と多裂筋の筋電図活動が低下しているという知見です。
A significant number of people with primarily nociceptive CLBP have impaired neuromuscular control of the key stabilizing muscles of the lumbar spine as the root cause of their pain, especially impaired control of the lumbar multifidus.
3)文献引用
翻訳
主に侵害受容性の慢性腰痛を持つかなりの数の人々は、痛みの根本原因として、腰椎の主要な安定化筋の神経筋制御に障害があり、特に腰部多裂筋の制御に障害があります。
Disturbances in one or more of these three stabilizing mechanisms leads to spinal segments moving outside of their normal range of motion (the so‐called neutral zone), causing tissue injury and initiating LBP.
If, for instance, the muscle control system exerts suboptimal stabilizing forces on the spinal column, overload of the joints and soft tissues surrounding the joints is more likely to occur, leading to primarily nociceptive pain.
3)文献引用
翻訳
安定化機構のうち、1つまたは複数の機構に障害が生じると、脊髄が正常な可動域から外れ、組織の損傷を引き起こし、慢性腰痛の原因となります。例えば、筋制御系が脊柱に最適ではない安定化力を発揮すると、関節や関節周囲の軟部組織に過負荷が生じやすくなり、主に侵害受容性の痛みが生じます。
などと脊椎周囲の筋肉、特に多裂筋がポイントであることがわかります。
多裂筋とは?
多裂筋とは、背骨(脊椎)を固定させるための筋肉でインナーマッスルの一つです。
背骨の後面から2-3上の背骨の後面に付着しています。
多裂筋へのアプローチ
先ほど慢性腰痛の原因は、多裂筋に多いと説明しました。
多裂筋をリラックスさせる方法を解説します。
全身振動
2の文献では全身を振動させることが推奨されていました。
全身振動エクササイズとは、身体に振動を送るマシンに乗って身体活動を行うトレーニング方法の様です。
このような機械のことかと思います。
Most clinical practices recommend exercise intervention as an efficient solution to improve back function and decrease pain in patients with LBP.
2)文献引用
翻訳
多くの臨床現場では、慢性腰痛患者の腰の機能を改善し、痛みを軽減するための効率的な解決策として、運動介入が推奨されています。全身振動(WBV)運動は、痛みの強さを軽減し、機能と生活の質を改善するための一般的な方法です。
Second, paravertebral muscle spasm occurs in most patients with LBP, and WBV exercise may relieve pain by relaxing the paravertebral muscles.
2)文献引用
翻訳
腰痛患者の多くは脊椎周囲筋の痙攣が起きており、WBV(全身振動)運動は脊柱周囲筋を弛緩させることで痛みを和らげる可能性があります。
と全身振動させる運動は脊柱周囲筋(多裂筋を含む)を弛緩(和らげる)させることができます。
多裂筋のマッサージ
他には、多裂筋を物理的にマッサージする方法もありかと思います。
多裂筋を自分でピンポイントで触ることは難しいので、マッサージボールやフォームローラーを使用することで可能かと思います。
他人にしてもらう場合は手で押してもらうことやマッサージガンの使用も便利かと思います。
注意点
いくつか慢性腰痛治療のポイントで注意点があります。
At present, no systematic review and meta-analysis has been performed to determine the efficacy of WBV exercise in improving back function and reducing pain in patients with LBP.
2)文献引用
翻訳
現時点では、慢性腰痛患者の腰の機能改善や痛みの軽減に対する全身振動エクササイズの有効性を明らかにするためのシステマティックレビューやメタアナリシスは行われていません。
と全身振動エクササイズは良いと考えられていますが実験結果として良かったわけではないそうです。
Exercise therapy targeting restoration of neuromuscular control of the MF has been shown to be effective in some cases, but most people find it difficult or impossible to voluntarily contract the MF.
3)文献引用
翻訳
多裂筋の神経筋制御を回復させることを目的とした運動療法は、一部のケースでは有効であることが示されていますが、ほとんどの人は多裂筋を自発的に収縮させることが難しいか、不可能であると考えられます。
と多裂筋のみを自分で運動させることは難しいと書かれています。
全身運動の中で多裂筋は動くことは容易ですが、”多裂筋だけ"を動かすことは難しいor不可能とのことなので、間違った運動をしないようにしましょう。
おまけ
体幹筋力を鍛えることは、腰痛予防・腰痛改善だけでなくケガの予防にも繋がります。
Participants who sustained knee ligament injuries showed decreased neuromuscular control of the core musculature, and greater deficits in control correlated with a higher risk of knee injury.
1)文献引用
翻訳
膝の靭帯を損傷した選手では、体幹筋の神経筋制御が低下しており、制御の低下が大きいほど膝の損傷のリスクが高いことがわかりました。
と体幹筋の制御が弱ければ、膝のケガのリスクが高いこともわかっているので、全身のケガ予防のために体幹トレーニングを行うことをオススメします。
まとめ
今回は体幹筋と腰痛の関係について解説しました。
腰痛をお持ちの方が多いので、少しでも腰痛改善のお役に立てればと思います。
あまり多裂筋に注目することはないと思います。
しかし、腰痛を持っている方は多裂筋へアプローチしてみる価値はあると思います。
生活の質をグッと上げるために腰痛を治していきましょう。
ありがとうございました。
参考・引用文献
- Brian J. Coulombe Core Stability Exercise Versus General Exercise for Chronic Low Back Pain J Athl Train. 2017 Jan; 52(1): 71–72.
- Yi-Li Zheng Whole-body vibration exercise for low back pain: A meta-analysis protocol of randomized controlled trial Medicine (Baltimore). 2018 Sep;97(38):e12534
- Marc Russo Muscle Control and Non-specific Chronic Low Back Pain Neuromodulation. 2018 Jan;21(1):1-9.