走るのが速くなるために必要な筋肉とは?

トレーニング

走るのが速くなるために必要な筋肉とは?

今回は『走るのが速くなるために必要な筋肉とは?』です。

スポーツをされている方で、もう少し足が速ければと思うことは多いかと思います。
スポーツにおいて走るスピードが速いというのは、様々な局面で有利になります。

今回は、走るのが速くなるために必要な筋肉が何なのか、そのトレーニング方法なども解説していきます。

結論

走るのが速くなるために必要な筋肉は

  • 腸腰筋
    -大腰筋
    -(腸骨筋)
  • 股関節内転筋
    -大内転筋
    -長内転筋
    -短内転筋
  • ハムストリングス
    -半腱様筋
    -半膜様筋

です。

走るのが速いとは?

走るのが速いというのは、今回はアジリティ(敏捷性)ではなく、単純に100m走が速いことを定義としたいと思います。

スプリント(短距離走)が速くなるために必要な筋肉について解説します。

研究結果

今回はいくつかの参考文献をもとに解説していきます。

 

疾走速度の高さとハムストリングス(股関節伸展および膝関節伸展に作用)、大腰筋および内転筋群(股関節屈曲に作用)の横断面積との間に有意な相関関係が認められている。

1)文献引用

内転筋全体の筋容積と疾走速度及び100mスプリントタイムとの間により有意な相関関係 が得られた。

2)文献引用

と記載されています。

 

これらから

  • 大腰筋
  • ハムストリングス
  • 股関節内転筋群

の発達が重要ということがわかります。

大腰筋

世界陸上などでのスプリントの世界大会では、ほとんどの大会で黒人が優勝しています。

さらに決勝の顔ぶれを見ると黒人がほとんどです。

The PMA was initially measured in its entire length before measuring the diameter and circumference at each segmental level (L1–S1).At each segmental level, the calculated anatomical cross-sectional area (ACSA) was more than 3 times greater in the black group compared with the white .

4)文献引用

PMA(大腰筋)は、各セグメントレベル(L1-S1)での直径と円周を測定する前に、最初にその全長を測定した。各セグメントレベルでは、計算された解剖学的断面積(ACSA)は、白人に比べて黒人群で3倍以上大きかった。

と、あるように黒人は生まれつき大腰筋が発達しています。

これが、黒人がスプリント能力が高い理由とも言われています。

 

そのくらい大腰筋の発達が重要とも言えます。

 

スプリント動作では

支持期後半から回復期前半において、腸腰筋は大腿に対して前方へのスイングを起こすモーメントを作用させていた。

3)文献引用

支持期後半から回復期前半で発揮される股関節屈曲トルクは、主に腸腰筋で生成されており、内転筋群によって生成される股関節屈曲トルクは小さかった。

3)文献引用

足を後ろから前に持ってくる際に重要であると動作解析からも示されています。

股関節内転筋群

股関節内転筋群は、普段は股関節を内転(股を閉じる)動作を担っています。

しかし、歩くときやスプリント動作などでの足が身体よりも後ろにある場合は、股関節を屈曲させる作用もあります。

支持期後半から回復期前半において、内転筋群は、股関節内転作用によって、脚を前方に加速させており、腸腰筋の張力は脚を前方向に加速させていなかった。

3)文献引用

と股関節内転筋も足を前方に加速させる働きがあります。

ポイント

大腰筋は股関節の屈曲トルクを生み出し、内転筋は脚を前方に加速させるという役割です。

ハムストリングス

ハムストリングスについては、3文献には動作解析は記載されていませんでしたが、主にハムストリングスは、股関節を伸展(足を後ろに動かす)作用があります。

 

さらに、足を振り出した際にある程度のところでブレーキをかけるという作用もありスピードを生むというよりも足をコントロールするという作用があるのでハムストリングスの発達も重要です。

トレーニング方法

大腰筋

大腰筋とは、腰椎~小転子(太腿に付け根)についている筋肉です。

役割としては、股関節を屈曲(前方に曲げる)役割があります。

腿上げ

大腰筋を鍛えるには、腿上げが効率的です。

  1. 背筋を伸ばして立つ
  2. 1の姿勢から右の太腿を限界まで上げる
    ※背筋がまっすぐのまま・素早く
  3. 右の足を戻す
  4. 左も同様に行う

画像の様に、腿を高く上げましょう。

 

この運動だけでは、負荷がややかかりにくいです。

筋肥大を狙うには、ゴムバンドを両足に引っ掛けるように使用し負荷をかけることで筋肥大も狙うことができます。

左右20回 3セット

股関節内転筋群

股関節内転筋群は恥骨~大腿骨の内側についている筋肉です。

役割としては、主には股を閉じる役割ですが、足が後ろにある場合は足を前に持ってくる役割・足が前にあれば足を後ろに下げる役割があります。

 

股関節内転筋群を鍛えるには、前後への股割りジャンプが有効です。

  1. 足を大きく前後に開いて両膝を曲げます
  2. 1の状態から高くジャンプします
  3. 空中で前後に開いている足を入れ替えます
    (最初右が前であれば空中で左を前・右を後ろにする)
  4. 着地したらすぐにジャンプします(2-4を繰り返す)

10回 3セット

ハムストリングス

ハムストリングスは、坐骨(お尻)~脛腓骨後面(膝裏)についている筋肉です。

役割は、膝を曲げる・足を後ろに動かす役割があります。

 

ハムストリングスを鍛えるには、ヒップリフトが効率的です。

画像の様に寝ころんで、お尻を上げるシンプルな運動です。

ヒップリフト

  1. 仰向きに寝ころび、両膝を立てます。
  2. 脚幅は肩程度
  3. 手は身体の前で交差します
  4. お尻を高く持ち上げます

ポイント

膝を曲げる角度を浅くするほど、ハムストリングスに負荷がかかります。

10~15回 3セット

まとめ

今回は、速く走るために必要な筋肉について解説しました。

 

筋肉を付けるだけで走るのが速くなるわけではありませんが、速く走るために必要な筋力がなければ早く走ることができません。

ポイント

筋肉を付ける+筋肉を早く収縮させる+走るフォームの整える

が大切かと思います。

 

筋肉を早く収縮させるトレーニングはこちらにも書いておりますので参考にしてください。

【解説】プライオメトリックトレーニングとは?【競技者必見】

続きを見る

どのスポーツにも必要な速く走るということを効率的に強化するために、ポイントを押さえて筋トレなどを行いましょう。

 

ありがとうござました。

参考・引用文献

  1. 衣笠竜太 日本のトップスプリンターの大腰筋横断面積と疾走速度との関係 日本体育学会大会号 52(0), 312, 2001
  2. 永吉 俊彦 短距離選手における下肢筋容積とパフォーマンスの関係 鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学編  51巻 73-81 2000.3.27
  3. 大島 雄治 最大疾走速度局面における内転筋群および腸腰筋の機能について 体育学研究 62:1-19,2017
  4. PATRICK HANSON  Anatomical differences in the psoas muscles in young black and white men  J Anat. 1999 Feb; 194(Pt 2): 303–307.

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