今回は『適正なBMIは?体重と寿命の関係』です。
近年、ダイエットブーム・健康ブームなどで体重気にされる方も多いかと思います。
過剰な体重の増加・過剰なダイエットなど健康に害する体重コントロールも問題となっています。
今回は適正な体重はどのくらいか?体重・BMIと寿命の関係などを解説していきたいと思います。
結論
結論
BMIは18.5~22.9が適正
適正なBMIから外れると寿命も短くなる傾向がある。(Uの字グラフ型)
BMIとは?
BMIとは、"Body Mass Index"の略称で、身長と体重から肥満や低体重を示す指数を出すものです。
国際的に成人にはBMIを使用しますが、子供は"カウプ指数"というものを使用します。
(今回がカウプ指数については割愛します)
ポイント
適正なBMIは、18.5~25.0となります。
厚生労働省でもこのように分類されています。
ポイント
- ~18.5 低体重(under weight)
- 18.5~25.0 普通体重(Normal range)
- 25.0~30.0 肥満度1(Pre obese)
- 30.0~35.0 肥満度2(Obese classⅠ)
- 35.0~40.0 肥満度3(Obese classⅡ)
- 40.0~ 肥満度4(Obese classⅢ)
BMIの計算方法
BMIの計算方法は
ポイント
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
です。
例
例えば
- 身長170m
- 体重65kg
とします。
身長をmに直すので1.7mとなります。
1.7の二乗=2.89
65÷2.89=22.4
BMIは22.4となります。
BMIと寿命の関係
いくつかの文献からBMIと寿命の関係を調べました。
肥満と寿命の関係
(寿命について)減量効果で、BMI を32から24への減量により約3年弱、BMI40~50の高度の肥満を24まで減量する効果は約10年の延長と している。
2)文献引用
Our HRs for grade 1 obesity suggest that men have almost double the proportional excess mortality of women— but, as age-specific death rates are typically more than 50% higher in men, the absolute excess death rate associated with grade 1 obesity is about three times as great in men.
3)文献引用
翻訳
グレード1の肥満に対する我々のHRs(危険率)は、男性が女性のほぼ2倍の死亡率を有することを示唆しています。-しかし、年齢特異的死亡率は一般的に男性で50%以上高いので、グレード1の肥満に関連する死亡率は男性で約3倍となります。
(grade1 (30·0–<35·0 kg/m²))
日本における同様の研究においても、男性では BMI 23~27・女性では BMI 21~27が最も死亡率が低かった。
4)文献引用
などと、主に肥満であると死亡率も高いことが様々な研究から結果がでています。
痩せすぎと寿命の関係
肥満だけでなく、痩せすぎであることも寿命に大きく関係しています。
インドでBMIが18.5の男性は10年間の追跡調査で有意に死亡率が上昇する こと、16 以下であると死亡率が3倍になること、バングラデシュやブラジルでの研究で、体重が低いと病気で仕事を休む日が有意に多くなることなどが引用されている。
4)文献引用
肺炎の治癒率は太っ ている人で高く、逆にやせている人で低い、すなわち死亡率が高いことがわかる。
1)文献引用
と痩せすぎでも寿命にも影響しています。
さらに、痩せすぎは肺炎などの病気にもなりやすいため日常生活にも影響を与える可能性があります。
若年女性のダイエット
若年女性は、モデルのような体型を目指して過剰のダイエットを行うことが多いかと思います。
若い間からダイエットなどで適正体重外になることは健康面に大きく影響が出ます。
中年期のBMI30以上の肥満者の健康長寿のオッ ズ比はやせ群(BMI18.5~22.9)の0.21と著しく低値であり、加えて18歳でBMIが25以上でその後から中年期にかけて体重が10kg以上増加した女性のオッズ比は更に0.18と著しく低く、青年期からの体重コントロー ルの重要性が示されている。
2)文献引用
若年からカロリー制限を始めることは悪影響がある可能性が示唆された。
4)文献引用
と若いときの体重コントロールも大切であることがわかります。
テレビで過剰に細い方が多く出ておられるので、特に若い女性にとって悪い影響を与えていることも問題になっています。
そのため、自分で体重をコントロールして適正なBMIの範囲にとどめることが重要です。
3)文献引用
この画像は
- 横軸がBMI
- 縦軸がHRs(危険率=死亡危険率)
です。
BMIが適正よりも低い場合でもHRsは高く、BMIが適正よりも高ければ高いほどHRsが高くなっています。
つまり、BMIは22~25程度が一番HRsが低くなります。
体重の質も大切
体重の質というのは、筋肉と脂肪のバランスです。
BMIが適正であっても、筋肉量が非常に少なく、脂肪ばかりではあまり良い状態とは言えません。
筋肉と脂肪のバランスを見るのは"体脂肪率"で見ることが手軽かと思います。
体脂肪率とは
体脂肪率とは、身体の中の脂肪が占める割合のことです。
体脂肪率が20%であれば、体重の20%が脂肪の重さということになります。
体脂肪の平均は
- 男性 10-25%
- 女性 20-30%
と言われています。
厚生労働省が定めているのは
- 男性 25%
- 女性 29%
を超えると体脂肪増加と言われます。
体重だけでなく、体脂肪率を気にすることも重要です。
まとめ
今回は適正なBMIは?体重と寿命の関係について解説しました。
過度に太っていることだけでなく、痩せすぎていることも身体には悪く、寿命を縮める可能性があることも知っておく必要があります。
健康な身体を維持し、健康寿命が延びるように身体をコントロールしていきましょう。
ありがとうございました。
参考・引用文献
- 佐々木 敏 高齢者の食事と栄養と現状の課題 Aging&Health 2015/10 12-15
- 大庭 建三 中野 博司 食事と栄養と健康長寿社会 第 53 回日本老年医学会学術集会記録 49 : 175-178
- Emanuele Di Angelantonio Body-mass index and all-cause mortality: individual-participant-data meta-analysis of 239 prospective studies in four continents Lancet. 2016 Aug 20;388(10046):776-86.
- 水原 祐起 健康体重でのダイエットの危険性 特集 水原:健康体重でのダイエットの危険性 精神経誌(2019)121 巻 6 号 473-478